2014年6月4日水曜日

現代史 はじめに

入試に出る現代史

 本書は、1991年に光文社のカッパブックスから出版された本です。私は世界史の参考書や問題集は多数出版しましたが、一般書としてはこれが唯一の本です。私は、とくに現代史に詳しいわけでもないのに、このような本を書くに至った理由は、予備校講師なるものが一世を風靡していた時代だったからです。かつて予備校講師は日陰の身であり、人様に公言できない職業でしたが、受験者人口が急増し、浪人生が激増すると、予備校は人気講師を宣伝して生徒集めをするようになりました。かくて予備校講師はタレント業と化し、出版社も予備校講師に執筆を依頼するようになりました。
 カッパブックスは、受験とはあまり関係のないシリーズでしたが、こうした風潮にあやかって、この本の出版を企画したわけです。サブタイトルに「偏差値が10上がる」と書いてありますが、現代史だけで偏差値が10も上がるわけがありません。「はじめに」については、当初私が書いたものがあったのですが、編集者はこれを没にして、自分で「はじめに」を勝手に書いて掲載しました。その内容は、かなりいい加減なものなので、ここでは掲載しません。
 この原稿の依頼を受けたのは6月の初めで、9月初めが締め切りだったので、3か月で原稿を書いた分けです。書き終わった時には、髪の毛が大分抜けていました。結局、どうなったのかというと、失敗に終わりました。カッパブックスでは、初版15000部を2か月以内に売り切らなければ失敗なのだそうですが、この本は全部売り切るのに2年かかりました。受験参考書としては、2年で15000部売れれば大成功なのですが、カッパブックスでは大失敗ということになります。なお、ここで得た原稿料は、子どものピアノを買うのに使いました。

 当時は、予備校講師も、自分の名を上げるために出版に積極的でしたが、私はあまり関心がなかったので、以後原稿依頼があれば書くという程度だったので、本格的な出版物はこれが最初で最後となりました。この本のタイトルと「はしがき」はいい加減ですが、中身はちゃんとしたものです。ただ、書いてからすでに25年近くたっており、また冷戦が崩壊して2年しか経っておらず、情勢がその後激動していきましたので、内容的に不十分な部分が多々あると思われますが、よほどひどい場合以外はそのまま掲載しました。また、本文で「今日」と書いてある部分は、「1991年」のことです。


目次

1章 中国と東アジア
 (1) 中華人民共和国成立  (2) 社会主義への道 (3) 文化大革命―毛沢東の反撃
 (4) 脱毛沢東と現代中国  (5) 朝鮮半島の分断国家
2章 東南アジア
(1)  東南アジア諸国の独立  (2) 戦乱やまぬインドシナ 
(3) ミャンマーとASEAN諸国  
3章 南アジア
 (1) インド・パキスタンの独立  (2) 独立後のインド
 (3) 南アジアを揺るがす宗教・民族対立
4章 中近東
 (1) 中近東諸国の成立  (2) 中近東―米ソ角逐の場
 (3) アラブの対立とパレスチナ問題
5章 第二次世界大戦後の国際関係
 (1) 冷戦―「鉄のカーテン」の構築  (2) 「雪解け」と核の恐怖
 (3) 冷戦の終結
6章 第二次世界大戦後の欧米
 (1) 西ヨーロッパ―EC統合への道
 (2) ソ連―スターリンからゴルバチョフへ
 (3) 東ヨーロッパ―民主化への動き
 (4) アメリカ―超大国の繁栄とかげり
7章 ラテンアメリカ
 (1) ラテンアメリカの悲惨  (2) キューバ革命―カストロの挑戦
 (3) 中央アメリカの悲劇
8章 アフリカ
 (1) ヨーロッパの繁栄の裏に  (2) アフリカ諸国の独立
 (3) 南アフリカ諸国の独立とアパルトヘイト


参考文献  

『朝日百科世界の歴史(198991) (朝日新聞社)/『朝日百科世界の地理(198385)(朝日新聞社)/『現代中国の歴史19491985』宇野重昭・小林弘二・矢吹晋(有斐閣)/『人間毛沢東』権廷赤著,竹内実監修,田口佐紀子訳(徳間書店)/『劉少奇の悲劇』尾崎庄太郎編訳(日中出版)/『毛沢東小田実(岩波書店)/『毛沢東』竹内実(岩波書店)文化大革命』矢吹晋(講談社)/ 毛沢東の思想ステュアート・R・シュラム,北村稔訳(蒼蒼社)/『中国現代史中嶋嶺雄編(有斐閣)/『鄧小平の中国』半沢貫(こぶし書房)/『毛沢東は死んだか李星可,多谷千香子訳(サイマル出版会)/『周恩未ディック・ウィルソン,田中恭子・立花丈平訳(時事通信社)/『さまよえる中国小島朋之(時事通信社)/『文化大革命と現代中国安藤正士・太田勝洪・辻康吾(岩波書店)/『中国文化大革命厳家其・高皐著,リュー・グァンイン訳,森田靖郎構成(PHP研究所)/『中国とソ連毛里和子(岩波書店)/「香港一過去・現在・未来』岡田晃(岩波書店)/ 香港‐移りゆく都市国家』中嶋嶺雄(時事通信社)/『台湾の前途』小林進(サイマル出版会)/『チベット』ペマ・ギャルポ(日中出版)/『日本統治下の朝鮮』山辺健太郎(岩波書店)/『朝鮮近代史』姜在彦(平凡社)『朝鮮戦争』神谷不二沖央公論社)/『朝鮮戦争丿村上薫(教育社)/『北朝鮮と南朝鮮』林建彦(サイマル出版会)/『朴正煕時代』李祥雨,藤高明・清田治史訳(朝日新聞社)/『二つの朝鮮一つの未来ジョン・A・サリバン,ロベルタ・フォス著,林茂訳(御茶の水書房)/『シンガポールからの報告』高橋弘殷(日本放送出版協会)/『南洋華人』リー・クーンチョイ,花野敏彦訳(サイマル出版会)/『アジアの世界』江口朴郎・岡倉古志郎・鈴木正四監修(大月書店)/『東南アジア紀行』梅棹忠夫(中央公論社)/『東南アジアの歴史』永積昭(講談社)/『東南アジア五つの国』チャールス・E・モリソン,渋沢雅英訳(サイマル出版会)/『東南アジア歴史散歩』永積昭(東京大学出版会)/『東南アジア史人門ミルトン・オズボーン,山田秀雄・菊池道樹訳(東洋経済新報社)/『私たちの中のアジアの戦争』吉沢南(朝日新聞社)/『ベトナム戦争の時代清水知久(有斐閣)/『ベトナムの星ジャン・ラクチュール,吉田康彦・伴野文夫訳(サイマル出版会)/『メコンのほとりで名越健郎沖央公論社)/ 『新タイ事情』田中忠治(日中出版)/『タイの政治文化赤木攻(勁草書房)/『誰も知らなかったビルマ藤田昌宏(文勢春秋)/『東南アジアからの知的冒険原洋之介編著(リブロポート)/『東南アジア現代史今川瑛一(亜紀書房)/『東南アジアと中東林理介(勁草書房)/『ASEAN萩原宜之(有斐閣)/『南北問題斎藤優編(有斐閣)/ 『第三世界の歩み西川潤(中央公論社)/『アジアはなぜ貧しいのか鶴見良行(朝日新聞社)/ 『もっと知りたいインドI』佐藤宏・内藤雅雄・柳沢悠編(弘文堂)/『もっと知りたいインドII』臼田雅之・押川文子・小谷汪之編(弘文堂)/『インド世界』近藤治編(世界思想社)/『インドとイギリス』吉岡昭彦(岩波書店)/『インド独立史』森本達雄(中央公論社)/『インド民族運動史』山田晋(教育社)/ 『ガンディーをめぐる青年群像」内藤雅雄(三省堂)/『インド独立』長崎暢子(朝日新聞社)/『インド経済』西口章雄・浜口恒夫(世界思想社)/『ケマル・パシャ伝』大島直政(新潮社)/『東アラブの歴史と政治』小串敏郎(勁草書房)/『イスラム・パワー』中東調査会編(第三省館)/『イラン』フレッド・ハリデー,岩永博一菊地弘・伏見楚代子訳(法政大学出版局)/『レバノン―危機のモザイク国家』荒田茂夫(朝日新聞社)/『パレスチナ人の歴史』D・ギルモア,北村文夫訳(新評論)/『イラン革命の内幕』モハメド・ヘイカル,佐藤紀久夫訳(時事通信社)/『パレスチナ』広河隆一(岩波書店)/『中東情勢を見る眼』瀬木歌大郎(岩波書店)/ 『中東を読むキイワード』浅井信雄(講談社)/『大国の興亡』ポール・ケネディー,鈴木主税訳(草思社)/『ヤルタ―戦後史の起点』藤村信(岩波書店)/『ヤルタ会談』倉田保雄(筑摩書房)/『マーシャル・プラン』永田実(中央公論社)/『新・核戦略批判』豊田利幸(岩波書店)/『現代の核兵器』高榎亮(岩波書店)/『激動の世紀19451985』ジョン・シャーニク,金利光訳(TBSブリタニカ)/『歴史としての冷戦』ルイス・J・ハレー,太田博訳(サイマル出版会)/『多極世界の構造』永井陽之助(中央公論社)/『現代国際政治の展開』フレッド・ハリディ・菊井禮次訳(ミネルヴァ書房)/『現代史ベルリン』永井清彦(朝日新聞社)/『ベルリンの壁崩れる」笹本駿二(岩波書店)/『冷戦の起源』永井陽之助(中央公論社)/『世界史の現場から』岡村昭彦著・岡村春彦・幕尾淳編(筑摩書房)/『核戦略の結末』豊田利幸(岩波書店)/『〈南〉からみた世界」江口朴郎・岡倉古志郎・鈴木正四監修(大月書店)/『核の栄光と挫折』ピーター・プリングル,ジェームズ・スピーゲルマン著,浦田誠親監訳(時事通信社)/『現代西ヨーロッパ政治史』中本康夫・河合秀和・山ロ定(有斐閣)/『ヨーロッパ共同体』池田文雄(教育社)/『クレムリン権力のドラマ』木村明生(朝日新聞社)/『スターリンからブレジネフまで」アレク・ノーヴ,和田春樹・中井和夫訳(刀水書房)/『ソヴエト・ロシア史』ゲオルク・フォン・ラウホ,丸山修吉訳(法政大学出版局)/『ゴルバチョフの時代』下斗米伸夫(岩波書店)/『東欧近代史JR・オーキー,越村勲・田中一生・南塚信吾編訳(勁草書
)/『東欧現代史』木戸蓊・伊東孝之編(有斐閣)/『ソ連・東欧の体制変動』藤本和貴夫・加藤一夫編(インパクト出版会)/『アメリカ政治史』有賀貞(福村出版)/『アメリカ政治外交史』斎藤眞(東京大学出版会)/ 『パクス・アメリカーナの光と影』上杉忍(講談社)/『アメリカ合衆国と私たち』猿谷要(朝日新聞社)/『ラテン・アメリカ史』中屋健一(中央公論社)/『メキシコ革命』増田義郎(中央公論社)/「ラテンアメリカ世界』増田義郎・山田善郎・染田秀藤編(世界思想社)/「現代のラテンアメリカ』後藤政子(時事通信社)/『概説ブラジル史』山田睦男編(有斐閣)/『アフリカ世界』宮本正興・岡倉登志編(世界思想社)/ 『黒いアフリカ』北沢洋子(聖文社)/『飢えるアフリカ』NHK取材班(日本放送出版協会)/『あぶりかアフリカ』外務省情報文化局編/『苦悶するアフリカ』篠田豊(岩波書店)/『アフリカー東西の戦場『アーサー・ガプション,安藤次男・片岡幸彦・川端正久・菊井禮次・松本祥志訳(新評論)/『アフリカの指導者』星野芳樹(ブロンズ社)/『交感するリビア』江口朴郎・板垣雄三(藤原書店)/『立ち上がる南部アフリカ』ウイルフレッド・バーチェット,吉川勇一訳(サイマル出版会),『アフリカふたつの革命』伊藤正孝(朝日新聞社)/『ボーア戦争』岡倉登志(教育社)/『アパルトヘイト』日本AALA連帯委員会編(新日本出版社)/「南ア共和国の内幕』伊藤正孝(中央公論社)/『南アフリカの内側』伊高浩昭(サイマル出版会)/『現代アフリカの悩み』小倉充夫(日本放送出版協会)




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