和田竜原作の小説(2005年)を2017年に映画化したもので、1578年の天正伊賀の乱を舞台としたものです。忍者や天正伊賀の乱については、「映画で日本史上の反乱を観て 伊賀の乱
拘束」(http://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2014/09/blog-post.html)を参照して下さい。
正直なところ、この映画は何を言おうとしているか、まったく分かりませんでした。金をもらうためだけに働く下忍、自分ちの利益しか考えない上忍、伊賀を奪おうとする織田信長の次男信雄、それを援助する伊賀の忍者、要するに伊賀はバラバラです。主人公の無門は自称伊賀第一の忍者だそうで、彼には掃き溜めの鶴のような恋人お国がいました。彼はお国の言うことには何でも言いなりであり、ある意味では彼女は無門の価値基準のような存在でした。
伊賀は、第一次伊賀の乱には勝利しますが、第二次伊賀の乱で敗北し、伊賀の国は消滅し、この間お国も死にます。そして最後に、伊賀は滅びても伊賀者は生きて全国に散らばり、欲深さという遺伝子を後世に伝えていくだろうという、かなり陳腐な言葉で終わります。全体に漫画的でくだらないのですが、困ったことに、何故か面白かった。最近観た二本の映画「たたら侍」「野火」は強い問題意識をもって制作された映画だと思いますが、どちらも今一面白くありませんでした。
私は「忍びの国」のように論点のはっきりしない映画は苦手ですが、でも面白かったし、嵐の大野智は良い演技をしていました。