2020年11月25日水曜日

最近観た映画(1)

 ウォリアークイーン

2003年にイギリスにより制作された映画で、1世紀にイングランドに実在したケルト族の女王ブーディカとローマ軍との戦いを描いています。彼女についてはタキトゥスが記録を残しており、現在ロンドンで戦闘馬車に乗るブーティカを観ることができます。







以前にこのブログに、「映画「虐殺の女王」を観て」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2017/01/blog-post_14.html)を公開しましたが、同じ人物を扱っています。

 




ヴァイキング

2016年のロシア映画で、ロシアの最初の君主となったウラジーミル1世の半生を描いた物語です。同じ時代のロシアについては、「映画でロシア史を観る」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2014/05/blog-post.html)を参照して下さい。







フューリアス

2018にロシアで制作、13世紀におけるモンゴルの侵入を描いており、ロシア南部は長くモンゴルの支配下に置かれます。同じ頃ロシアは、スウェーデンからも攻撃されます。これについては、「アレクサンドル・ネフスキー~ネヴァ川の戦い」を参照してください。







1900

1976にイタリアで制作、316分にも及ぶ長編です。混迷する20世紀前半を生きた二人の人物の物語です。









ヒトラー最後の代理人





2016年にイスラエルで制作された映画で、アウシュヴィッツ強制収容所ルドルフ・F・ヘスの手記を元に、アウシュヴィッツでの虐殺について語られます。前に見たアイヒマンと同様、命令を実行したにすぎない役人でしたが、アイヒマンにとって虐殺される人々は数字でしかありませんでしたが、ヘスは虐殺に立ち会うたびに、自分の家族のことを考えたと、述べています。






希望の灯り

2018年のドイツで制作された映画で、東西ドイツ統一後の旧東ドイツの人々の心の安定を描いています。









ヴィクトリア女王 最期の秘密

2017年 イギリス アメリカ

晩年のヴィクトリア女王が描かれています。若い時代のヴィクトリア女王については、「ヴィクトリア女王 世紀の愛(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2015/03/blog-post_7.html)







ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋





2011年にイギリスで制作された映画で、イギリス国王エドワード8世とアメリカ人既婚女性ウォリス・シンプソンとのロマンスを、シンプソン夫人に視点をあてて描いています。








レジェンド・オブ・サンダー

2004年にイギリスで制作された映画で、原題は「火薬陰謀事件」で、邦題の意味はよく分かりません。17世紀初頭のイギリス・ステュアート朝初代の君主ジェームズ1世の暗殺未遂事件を扱っています。私はジェームズ1世についてほとんど知識がありませんので、大変参考になりました。

映画は、「火薬陰謀事件」について述べる前に、その前提となる歴史、つまりスコットランド女王メアリーとジェームズの誕生ついて述べます。メアリーについては、「映画「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」を観て」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2020/08/blog-post_70.html)を参照して下さい。ジェームズ1世は、エリザベス女王の死後イングランド国王となりましたが、イングランドも宗教対立が激しく、そうした中でカトリック教徒によりこの事件が引き起こされます。事件は未遂に終わりましたが、その後のイングランドは、ピューリタン革命や名誉革命など苦難の時代を経験し、18世紀になってようやく新しいイギリスが形成されることになります。

 この映画は、特によくできた映画だとは思いませんが、私の知識の空白部分を埋めてくました。

スエズ

 1938年にアメリカで制作された映画で、フランス人レセップスによるスエズ運河の建設が描かれています。スエズ運河の開削が空前の大工事だったことは言うまでもありませんが、映画では工事の過程より、資金調達や外交的な駆け引きを中心に描かれます。とくにスエズ運河は地政学的に重要な意味をもちますので、これに利害関係をもつ国々との交渉はかなり厄介で、大変興味深く観ることができました。なお、映画ではフランス皇帝ナポレオン3世の皇妃ユージェニーとレセップスとのロマンスが語られますが、こうしたことが実際にあったのかどうか、私は知りません。


2020年11月15日日曜日

時代劇を観て

 幕末太陽傳

 1957年に制作された映画で、かつて品川に実在した遊女屋である相模屋を舞台としたドタバタ喜劇で、日本映画史上で傑作の一つに数えられている映画です。幕末の動乱の中にあって、逞しく生きる町人の姿が描かれています。







たそがれ清兵衛

2002年に、山田洋次監督によって制作された映画で、原作は藤沢周平です。映画では、幕末におけるある(架空の)藩の下級武士の悲哀が描かれており、低迷する時代劇および日本映画の中で高い評価を得た作品です。







殿、利息でござる

2016年に制作された映画で、18世紀の仙台藩吉岡宿での宿場町の窮状を救った町人達の記録です。彼らの構想は、1000両という大金を8年かけて捻出し、その金を仙台藩に貸付けて、その利子で宿場を運営するというもので、その計画は1773年頃に成就されました。






サムライマラソン

2019年に制作された映画で、「安政遠足(あんせいとおあし)」と呼ばれる史実を描いています。幕末期に今日の群馬県ある小藩安中藩で行われた、今日風に言えばマラソン大会の顛末が、コミカルに描かれています。







武士の献立

2013年に制作された映画で、江戸時代における加賀料理の発展について述べています。加賀藩は百万石の大藩なので、将軍や他の大名への供応が多く、料理担当の武士たちもたくさんいました。映画では、料理担当の一人の武士が、抜群の味覚をもつ妻の協力を得て、加賀料理を発展させていきます。






天心

2013年に制作されて映画で、西洋美術が隆盛するなかで、日本美術の保護に生涯をかけた岡倉天心の生涯を描いています。国内の日本美術を保護し、日本画の画学生を指導し、多くの著書を著して、日本の美術を世界に伝えました。岡倉天心の、こえしたバイタリティあふれる生涯を描いています。












2020年11月4日水曜日

「東海の神々を開く」を読んで

 

森浩一など著 2009年 風媒介社

 本書は、東海の神社に祀られる神々や、東海の考古学的研究を扱った専門書で、私にはほとんど理解できませんので、私が関心のある部分だけをつまみ食いしました。

 日本における神社の数は数えきれないでしょう。私が住む小さな町にも、8か所も神社があります。これら多くの神社で祀られる神々は多様です。一般に多いのは、建国神話に関わる神々で、出雲大社、伊勢神宮、熱田神宮などです。その他に、古代の氏族の伝承に関わる神々が祀られていることが多いようです。また、それ以外に、それぞれの地方に伝わる伝承に関わる神々も祀られます。

 美濃や飛騨に広く伝わる「サエノカミ」という伝承があります。「相手を求めがたいほどの美男と美女の兄妹が、それぞれに、ふさわしい連れ合いを探すために分かれて旅に出た。時を経て、お互いの心に叶う相手を得てむつまじくなったものの、身の上話をするに至り、かつて、別れ別れに旅に出た兄妹であることを知った。そして、道ならぬ夜を過ごしたことをはかなんで命を絶った。」これを哀れんだ村人が、供養のために像を創りました。従って、サエノカミの像は双体像が多いそうです。

 津島神社には、牛頭天王が祀られています(表紙の写真参照)。この神がインドから仏教とともに耐えられたのは間違いないようですが、それがどのようにして人々に受け入れられていったのか分かりませんが、今日厄除けの神として多くの参拝者を集めており、また建国神話スサノウとも結びついているようです。