2020年8月9日日曜日

映画「悪女」を観て

2004年にイギリスとアメリカの合作で制作された映画で、サッカレーの「虚栄の市」を映画化したものです。邦題は「悪女」ですが、主人公は悪女というわけではなく、虚栄の市を強かに生きた女性ですので、原題通り「虚栄の市」の方がよいのではないかと思います。
サッカレーは、19世紀半ばに活躍した作家で、ディケンズとほぼ同世代です。ディケンズが貧しい人々を描いたのに対し、サッカレーは上流階級を痛烈に批判しました。この時代のイギリスでは、一方では産業革命により貧富の差が拡大し、他方ではインドからの収奪により富める者はますます豊かになっていきました。サッカレーの父は東インド会社の職員で、サッカレー自身6歳までインドで暮らし、この映画でも色々な形でインドとの関係が描かれています。

この映画の背景には、ナポレオン戦争がありました。字幕に1802年とありましたので、一時的に平和だった時代です。主人公のベッキーは孤児だったので、寄宿学校の家政婦をしており、そこを出て上流階級の道を目指します。それは虚栄の市でしたが、彼女は逞しくいきていきます。

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