2016年11月16日水曜日

「19世紀フランス 光と闇の空間」を読んで

小倉孝誠著、1996年、人文書院
本書は、1843年から1944までパリで刊行された「イリュストラシオン」という挿絵入り週刊新聞を題材として、19世紀のパリという空間を、多数の図版を用いて描き出しています。「対象となった空間は、中央市場、庭、温室、公園などのように人々の日常性に関係の深い空間と、犯罪者の世界、警察、監獄のように善良な市民にとっては縁のうすい空間の二つに大別される。前者が光の空間であるとすれば、後者はいわば闇の空間ということになろう。」

 19世紀のフランス社会史に関する本を続けて3冊読みましたが、どれも趣が異なって、大変興味深く読むことができました。私が現役だった頃には、私の読書の目的は知識を得ることと、講義のネタを探すことでしたので、社会史に関する本をじっくり読むことができませんでした。今、こうして社会史に関する本を読んでいると、私が授業で教えてきたことが、すべて虚しく思われます。

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