2020年3月24日火曜日

映画「-空海―KU-KAI 美しき王妃の謎」を観て


2017年制作の日中合作映画で、日本の仏僧空海と中国の詩人白居易(白楽天)を中心として、楊貴妃の死の真相を探るという奇想天外なファンタジー映画です。原作は、夢枕獏「妖猫伝」で中国版の映画のタイトルも「妖猫伝」です。
 空海については、このブログの「映画で仏教を観る 空海」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2015/01/blog-post.html)を参照して下さい。空海は天才といわれた人物で、日本に仏教をもたらし、今も高野山に奉られて多くの信仰を集めています。白居易(白楽天)は、「長恨歌」で玄宗皇帝と楊貴妃との愛をうたい、それは日本文学にも大きな影響を与えました。楊貴妃についてのこのブログ「映画で観る中国の四人の女性 楊貴妃」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2014/01/blog-post_1111.html)参照して下さい。
 時代は800年頃、楊貴妃が死んでから、すでに50年ほど経っています。場所は世界一の都である唐の長安、この頃たまたま日本からの留学生空海と詩人の白楽天が出会いました。どちらも30歳くらいのときです。白楽天はちょうど「長恨歌」を書き終えたところで、内容に間違いがないかを確かめるため、空海の力を借りました。やがて黒い猫が現れ、楊貴妃の死に関わった人々を殺していきます。またさまざまな妖怪や妖術使いが出現しますが、空海は法力を使ってこれらを乗り越えていきます。さらに、途中で阿倍仲麻呂まで登場します。彼は19歳の時に唐に渡り、玄宗皇帝に気に入られて、故郷に帰る許可が得られませんでした。実は、映画では彼は楊貴妃を心から愛し、そのために帰国が遅れ、結局帰国できず唐で死亡し、楊貴妃についての記録を残したことになっています。
 荒唐無稽な話ではありましたが、CGにより美しい長安が再現され、またワイアー・アクションなど様々なトリックを駆使して映像が作製されていましたので、あまり退屈することなく、面白く観ることができた映画です。
 なお空海は、青龍寺で修行を積みますが、すでに日本で十分な苦行を積んでいたため、わずか半年で密教の奥義を伝授され、20年の留学期間を2年で帰国することになります。さらに彼は唐の様々な文化を吸収して帰国しますので、まるでスーパーマンのような人物です。 

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