本渡章著 20121年 創元社
本書は井原西鶴の著書やその挿絵を用いて、江戸時代の大阪の民衆の風俗を描いています。著者はまず冒頭で述べます。「井原西鶴は有名人だ。西鶴というだけで、たいていの人に通じる。にもかかわらず、「読みました」という人は案外少ない。」私もその通りです。つまり西鶴ほど有名で、西鶴ほど知られていない人物は珍しい。」
このブログでも、「映画で浮世草子と浄瑠璃を観て 大阪物語」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2016/05/blog-post_11.html)で西鶴について述べていますが、それは西鶴のほんの一部でしかありません。著者によれば、「西鶴をひもとけば、江戸時代がわかる。西鶴を味わえば、人間が分かる。西鶴を熟読すれば、ものを視る目が養われる。西鶴を鏡にすれば、今という時代、今を生きている人々までもみえてくる。西鶴は今でも広く読まれる価値がある。」ということです。
本書は、金について、町人の生活、色恋について、西鶴を通じて当時の社会や人々の考え方を述べていますが、特に興味深かったのは、挿絵についての説明です。例えば、人々が裸足で道を歩いている絵、商人が二本の脇差をさしている絵などです。多くの人物が描かれている一枚の絵の中では見逃してしまいそうな小さな絵の中に、色々なこと読み取ることができ、大変興味深く読むことができました。
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