2015年3月21日土曜日

映画「インドへの道」を観て

1984年に制作されたイギリスとアメリカの合作映画です。イギリスの植民地支配下にあった1920年代のインドと一人のイギリス人女性との出会いを描いたもので、非常に分かりにくい映画ですが、心に残る映画でもありました。
 イギリスの若い女性アデラが、インドで地方判事をしている婚約者に合うため、婚約者の母とともに、初めてインドを訪れます。たまたまインド総督と同じ列車だったため、インド人たちによる大歓迎を受けて町に入ります。彼女はインド人と接したいと思っていたのですが、イギリス人はインド人とほとんど接触せず、イギリス人だけの閉鎖的な社会で生活しており、インド人とは関わらない方がよいと忠告します。イギリス人は、常にインド人を侮辱的な目で見つめていました。
 たまたま知り合ったインド人医師アジズは、西欧人の服を着、西欧人にへりくだった態度をとっていました。彼はアデラを近くの洞窟に案内します。この洞窟が具体的にどの洞窟なのか分かりませんが、大きな岩山に多くの洞窟が掘られ、西欧人の観光名所となっていました。その洞窟に入るとこだまが響き、彼女はそれを聞いているうちに錯乱状態となり、一人で山から逃げ出します。そして彼女は、アジズに暴行されたと訴えたのです。その結果アジズは逮捕され、裁判が始まります。
 イギリス人は最初からアジズを有罪と決めつけており、それに対して民衆がイギリスの横暴を訴えて暴動を起こします。裁判は騒然とした中で行われアジズの有罪はほぼ確実かと思われましたが、最後にアデラが暴行はなかったと主張し、訴えを取り下げました。そしてアデラはイギリスに帰り、アジズは洋服を捨ててインド服に着替え、故郷で医師として平穏に暮らすことになります。
 以上のストーリーでは、ほとんど何のことか分かりませんが、この間にインド人とイギリス人との関係、美しい自然、都会の喧騒などが描かれます。そして何よりも、イギリス人が支配階級としてインド人に常に横柄に対応し、インドとインド人を無視し続けます。しかしインドの長い歴史と文化の持つ神秘性と重みは、圧倒的な力を持ちます。アデラが洞窟で聞いたこだまは、この歴史と文化の重みであり、彼女はそれに耐えられず逃げ出したのだろうと思います。イギリス人が来たばかりのアデラに、インドに関わるなと忠告したのは、このことだったのではないでしょうか。結局彼女は、イギリス人社会を裏切ってインド人を擁護し、さらに婚約を解消して帰国します。

 まったくの言葉足らずで、映画の内容を半分も話しきれていません。ただ、イギリス人がいかに力でインドを押さえつけようとも、悠久のインドの大地と精神にまったく太刀打ちできない様が描かれているように思います。それと同時に、人間が民族や文化の枠を超えて接しあうことの必要性を説いているように思います。
 何年かたって、アジズはアデラに手紙を書きます。「あなたの勇気がやっと分りました。

あなたのおかげで、私は子供達と幸せに暮しています。あなたに倣って、誰にも親切を心掛けます」と。

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