2014年にアメリカで制作された映画で、「エクソダス」とは旧約聖書の「出エジプト記」(大量脱出)のことです。「出エジプト記」はモーセに率いられたヘブライ人がエジプトから脱出するという物語で、これについては、このブログの「映画で聖書を観る 十戒」(http://sekaisi-syoyou.blogspot.jp/2014/04/blog-post_3082.html)で詳しく述べました。どちらの映画も、「出エジプト記」をベースにしているため、内容的にはほとんど同じです。
この映画で少し気になったのは、モーセに神の声を伝えたのが一人の少年だったという点です。この少年が神自身なのか、天使なのか分かりませんが、かなり不気味な少年で、神の厳しい意志を冷酷にモーセに伝えます。また、「出エジプト記」で語られる数々の奇跡については、科学的な説明も可能なように描かれています。たとえば、ナイル川が赤く染まることはしばしば見られる現象だし、イナゴの大群の襲撃や疫病もよくあることです。一番問題となるのは海が割れたということですが、これも引き潮として説明されます。
しかしモーセの実在や出エジプトという事件については疑う人が多いようです。古代エジプト人はなんでも丹念に記録する傾向があり、何十万人もの人々が脱出した大事件の記録が残っていないのは不自然です。したがって、真偽のはっきりしない事件を科学的に説明する試みは陳腐であり、「出エジプト記」の記述をそのまま再現すればよいように思います。それを信じるか信じないかは、その人の信仰の問題だと思います。
なお、3Dを駆使した映像は見ごたえがあり、人種的偏見や聖書の解釈について多くの批判が出されたようですが、聖書映画にはこの種の批判はつきもので、娯楽映画としては十分楽しむことができました。
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