B.バルミーロ・ポスケージ著(1976年)、下村清訳、新評論 1992年
本書は、ムッソリーニが解任された1943年7月から、ドイツ軍が降伏した1945年5月までの、2年間近くのイタリアの動向を描いています。
ムッソリーニ解任後のイタリアは大変でした。新たに成立したバドリオ政権と国王エマヌエーレ3世は、ドイツとの同盟を維持すること、戦争を継続することを宣言しましたが、すでに市民は終戦気分で湧いていました。とはいえ、ここで戦争をやめたら、ドイツ軍がイタリア全土を制圧することは明らかです。一方、連合軍はシチリアに上陸し、本土上陸は目前であり、すでにパルチザンはドイツとの戦闘を開始していました。こうした中で、結局バドリオ政権はドイツに宣戦布告し、その結果ドイツ軍がローマを占領し、国王とバドリオ政権は南部へ逃れるといった有様でした。
この間に、ムッソリーニの幽閉、ドイツによるムッソリーニの救出、新たなムッソリーニ政権の成立、ムッソリーニの処刑などが行われます。また、連合軍が国王エマタエル3世の退位を要求してきます。こうした中で、ドイツとの戦いで最も大きな役割を果たしたのはパルチザンで、その結果、戦後共産党勢力が拡大することが懸念されます。こうした中で、結局イタリアは無条件降伏を受け入れ、終戦を迎えることになります。
本書は、個人的には啓発されるものはありませんでしたが、著者は歴史家であると同時に小説家でもあれ、非常に読みやすくて面白い内容となっています。
0 件のコメント:
コメントを投稿