2020年7月14日火曜日

映画「カラーパープル」を観て


1985年にアメリカで制作された映画で、アリス・ウォーカー原作の同名小説を映画化したものです。20世紀前半における一人の黒人女性を描くことによって、奴隷解放後も南部に存在し続けた抑圧構造を描き出しています。
奴隷解放宣言によって、法的には奴隷制がなくなったとはいえ、当面黒人は従来とほとんど変わりなく、白人のプランテーションに縛り付けられていました。しかし、長い年月の間に、没落するプランテーションもあったでしょうし、自立する黒人もいたでしょう。このことについて、私は具体的に何も知りませんが、この映画の始まりの年である1909年には、黒人がある程度の土地を経営しており、映画はこれらの黒人社会に焦点を当てています。唯一登場する白人は市長夫婦で、彼らは差別主義者で、黒人を人間以下の存在と考えていました。そして、その黒人たちの中でも差別が存在しました。
 14歳の少女セリーは義父によって暴行され、2度出産し、生まれた子はどこかに売り払われました。その後彼女はミスターと呼ばれる男に嫁がされ、そこでは、暴力と酷使の毎日が続きます。さらに彼女が心の拠り所としていた妹のネティから引き離され、彼女は行方不明になってしまいます。こうしたことは、かつての奴隷制度のもとでは日常的に行われていたことで、今や黒人がかつての白人の真似をしているのです。映画では、さまざまな抑圧や差別に耐え忍び、次第に精神的に強くなり、自立していくセリーの姿が描かれており、最後に妹に再開して映画は終わります。タイトルの「カラーパープル」は「高貴な、誇り高き色の肌を持つ人々」というような意味です。

 なお、セリーを演じたのは、「天使のラブソング」(1993)のウーピー・ゴールドバーグで、これが彼女のデビュー作となったそうです。

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