2018年10月14日日曜日

詩(6)(麻実)


ともだち
ともだちなんていないんだ
それはたぶん嘘

ねむり不足
寝られなくて足らなくなった
朝 起き出せた奇跡
昼間 頭はぼんやり
午後 落ちそうになる
歩く道 おふとんが恋しい

まよい
生活する日々は此凡て
取捨の為の選択
あれやこれやの長所短所
並びに好みと時々の気分
なあにどれを掴んだとて
大して違いはない
目を瞑ってぱっと取ったものと
熟考熟慮の上で取ったものとが
同じであるやもしれじ
即断即決が優れているとも思わねど
優柔不断に結論を先延ばしするも
よろしきとは思わず
是と決めたならせめて
あっちがよかったなどと
思うことのなきように
自分自身を鍛えておきたいものだなあと
心中密かに誓う次第

雨だれ
ビルの大きな窓に台風が絵を描く
別向きの窓はまだ白いキャンパス
狂気のように叩き付ける雨粒が
永劫と刹那を結びつける


背中丸めて煙草に火を
点けてポッケに手を突っ込む
ホームの端で雪を見上げて
吐息と一緒に煙を吐く
白い息白い煙白い雪
頬もたぶん白いのだろう
行くべき未来も白いのだろう
ただ足元の靴だけが
染まることなく黒いまま
踏みしめる一一歩一歩は黒いのだろう

個人
僕の見ている世界は
かなしくて無機質
掴んだと思うそばから
こぼれ落ちてしまう
刃の上を渡る独楽は回る
何もかもが消え失せてしまう
塵に還るのが習いなら
このかなしみはなんだろう
このむなしさはなんだろう

漆黒
月は空に穿った白い点
星は天鵞絨に蒔いた硝子
空気は透明な棘
私はありふれた生き物

(この写真と本文は関係ありません)

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