2018年10月13日土曜日

詩(5)(麻実)

Twelve
残す物
残る物
残ってしまう物
残らない物

忘れないで
忘れてしまう
忘れたくない
忘れたい

あきあお
黒い土に泣き伏す
別離を惜しみ恵みに感謝して
乾いてからっぽの空見上げて
声を嗄らして唄う
辿り着けない境地

ある日、海に
海へ行こう
潮を嗅ぎに
波を聞きに
電車に揺られて
浜辺を歩こう
いろいろ見よう
生きているもの
死んでいるもの
海へ行こう
ただ行くだけ
ただ歩くだけ
そういうことが時々必要

あるき、つづける
歩き続ける
歩き続ける

エキストラ
誰かの人生の私は一人のエキストラ
使われるばかりで弁当すら出ないけど
それでもちょっと映れたら
それでいいかなと思ってる



ガイドブック
目安にはなるけれど
すべて載っているわけじゃない
あればあったでなければないで
そんな程度のもの
君の人生には必要かい?

クレシェンド
ますます君が好きになる
それは逃れられないものらしい
私の中に自然が用意してくれた仕組みらしい
ますます君が大切になる
すべてことが君を軸に進んでいく
私の中身は君でいっぱいになる
優美な曲線が認識を支配する
それはおそらく一つの円環
調和と万能とやすらぎ
ますます私は私になる
曖昧になりつつ明瞭になる輪郭
切なく紡ぐ小さな言葉

スリッパ
スリッパ履いて
ぱたぱた歩く
なんてしあわせ
ぱたぱた歩く
ぱたぱた歩く
遠くから打ち寄せる
懐かしいような
切ないような
スリッパ履いて
ぱたぱた歩く
思い出せそうで
思い出せないもどかしさ
ぱたぱたぱたぱた
なんてしあわせ

(この写真と本文は関係ありません)

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