2019年4月20日土曜日

映画「孔子の教え」を観て


2009年に中国で制作された映画で、孔子の生涯を描いています。孔子については、2015年にテレビドラマとして制作された、全35回の孔子伝があり、このブログでも、このドラマを通じて儒教と孔子について述べていますので、参照して下さい。「映画で中国の思想家を観て 恕の人―孔子伝」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2014/08/blog-post_23.html)
 中国の近代は外国による侵略の歴史であり、それに伴って、2000年にわたって中国の人々の価値観に影響を与えてきた儒教にたいする批判が高まりました。20世紀の初頭から、文学革命という形で、激しい儒教批判が行われ、それは近代中国が一度は通過せねばならないことだった思います。しかし、その後の長い混乱の中で、中国は共通の価値観を見出すことができず、さらに一人っ子政策により個人中心的な価値観が横行するようになりました。また、外国旅行での中国人のマナーの悪さが、問題視されるようにもなりました。こうしたことを背景にこの映画は、中国には儒教という優れた道徳が存在することを、人々に思い起こさせようとしているように思います。
 映画の前半は、孔子の祖国である魯の国での活躍が語られますが、結局彼は魯の国で挫折し、君主に「戦に負ければ仁など関係なくなる」といわれて、魯の国を去り、15年間に及ぶ放浪の旅に出ます。彼は各地の君主に迎えられ、厚遇されますが、彼が採用されることはありませんでした。戦国時代へと向かおうとしていた時代に、どの国の君主も本音は「戦に負ければ仁など関係なくなる」ということでした。彼の思想が広くうけいれられるようになるのは、これより何世紀も後のことです。

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