2015年8月12日水曜日

「グラムシ」を読んで

片桐薫著 1991年 リブロポート
 イタリア共産党創設者の一人グラムシの伝記です。グラムシについてはほとんど何も知りませんでしたが、名前くらいは知っていたので、この本を買ったのでしょう。
 彼は、1891年にサルデーニャ島に生まれ、幼少の頃、背中にコブができ、以後彼は頭痛や発作に悩まされたそうです。苦学して大学へ行きますが、この頃から社会主義運動に傾倒し、1921年にイタリア共産党創設に参加します。しかしまもなくムッソリーニ政権が成立し、1926年に逮捕され、1937年に釈放直後に腦溢血で死亡します。
 したがって、彼は表舞台での活動期間は少ないのですが、10年に及ぶ「獄中記」が残っており、そこで彼の思想がよく語られています。本書は、グラムシの多くの書簡を用いて、家族との関係や彼の思想が語られており、大変興味深い内容です。彼の思想の根底には、教条化しつつある「正統」マルクス主義に対して、実践的行動の主体としての人間の問題を甦らせようとする立場があったように思います。

 第二次世界大戦後、イタリア共産党は大盛況を遂げますが、イタリア国民はその大多数が敬虔なカトリック教徒であるにもかかわらず、多くの国民が共産党に投票するという不思議な国民です。また、1870年代には、党内の多様な意見を認めるという「ユーロコミュニズム」を採用しています。こうしたイタリア共産党の特色は、グラムシを初めとする初期の優れた共産党員の影響によるものではないでしょうか。

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