2019年10月5日土曜日

映画「チューリップ・フィーバー」を観て

2017年にアメリカ・イギリスの合作で制作された映画で、フェルメールの絵画の着想をもとに、17世紀のオランダで起きたチューリップ狂時代を背景に、二組の恋の物語が描かれています。

 チューリップは中近東に原生する百合科植物で、ラーレと呼ばれ、オスマン帝国の宮廷で愛好されていました。16世紀にオーストリアの大使がオスマン帝国からこの花をヨーロッパにもたらしますが、その際花の名前がチュルバン(ターバン)と誤って伝えせれ、その結果ヨーロッパではこの花はチューリップと呼ばれるようになったそうです。






チューリップは、ヨーロッパのどのタイプの花とも異なり、その美しさが人々を魅了しますが、種から栽培すると712年かかるため、球根が高値で取引されるようになりなりました。17世紀初頭、ちょうどオランダの経済が急成長しつつあったころ、オランダの商品市場でチューリプの球根の取引が急成長しました。特にまだら模様など珍しい花を咲かせる球根には異常な高値がつきましたが、今日ではこのようなチューリプは球根がウィルスに感染してできるものだということが分かっています。このような球根は、実際の商品価値からかけは離れたデリバティブ=派生商品であり、このような経済の活況はバブルです。多くの人が 球根に投資し、大きな利益をあげる人がいると同時に、破産する人もいました。そして1637年、突然バブルは崩壊します。映画は、こうした時代背景のもとで、進行します。
 この映画の背景は、17世紀前半のアムステルダムで、主人公のソフィアは修道院で育ち、富裕な年配の商人の求めに応じて結婚します。彼女は夫を愛していませんでしたが、自分を貧困から救ってくれた夫に恩義を感じ、夫は美しい妻に誇りを感じていました。夫はヤンという若い絵描きに夫婦の肖像画を書かせますが、やがてソフィアとヤンが恋に落ちます。ストーリーはありきたりのものですが、話の過程でチューリップの球根の取引がおこなわれたり、召使の恋が絡んだりします。
この映画は、フェルメール的な映像を再現することを目指しているそうで、ソフィアは「真珠の耳飾りの少女」を連想させるし、ヤンはフェルメール自信を連想させ、大変興味深く観ることができました。なおフェルメールについては「映画でオランダの二人の画家を観て 真珠の耳飾りの少女」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2015/10/blog-post_24.html)を参照して下さい。



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