2017年7月22日土曜日

映画「老人と海」を観て

1958年にアメリカで製作された映画で、ヘミングウェイの同名の短編小説を映画化したものです。第一世界大戦で多くの人が死に、既成の価値観が破壊された時代の中で、「行き場のない人々」という意味で「失われた世代」と呼ばれる人々が登場してきました。その代表的な人物の一人がヘミングウェイで、1926年に出版された彼の「日はまた昇る」は、第一次世界大戦を題材とするものですが、変わらぬ生活に対するやるせなさを描いたものです。
彼は常に危険に身を晒し、そこから小説の着想を得ていたようです。第一次世界大戦の経験から「武器よさらば」を、スペイン内戦の経験から「誰がために鐘は鳴る」を著し、どちらも映画化されました。1952年に、自らのカリブ海での生活経験をもとに「老人と海」を発表し、これに高い評価が与えられて、1954年にノーベル文学賞を受賞します。しかしこの年、二度の飛行機事故に遭遇し、命はとりとめましたが授賞式には出席できず、その後鬱病となり、1961年に銃で自殺しました。
「老人と海」は、カリブ海でカジキ漁をする老漁師(80歳代)の物語です。少年時代からずっと海で暮らしてきた老人は、海のことをとてもよく知っていました。彼は、小さな船にボロ雑巾のような帆を立てて、毎日カジキを釣るために漁にでます。そして、もう何カ月もカジキを釣ることができません。ようやくカジキが針にかかったのですが、とてつもなく巨大なカジキで、釣り上げるのに4日もかかりました。しかし、カジキが大きすぎで船に乗せられないため、船の側面に縛り付けて運んでいくのですが、カジキの血の匂いを嗅ぎつけて多くのサメが殺到し、港に着いた時には、カジキは頭と骨だけになっていました。
この一連の戦いの過程で、老人は断片的に過去を思い出し、今現在行われていることが、過去と深くつながっていることが示されます。本書はヘミングウェイの最高傑作とされていますが、映画の方は、本書の朗読に終わっていました。もちろん登場人物の少なさと舞台のほとんどの小舟の上というだけの映画ですから、大変映像化しにくい題材ではあると思いますが、それでももう少し映像で語って欲しいと思いました。

この物語は、常に危険の中に身を置いて生きてきたヘミングウェイの生涯そのものだったように思います。


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