2019年12月25日水曜日

「グアム・チャモロの歴史と文化」」を読んで


中山京子・ロナルドT.ラガニャ著、2010年、明石書店
グアムは日本人にとって最も身近な海外観光地の一つですが、私を含めて意外に知られていないことが沢山あります。まず第二次世界大戦中に、日本の真珠湾攻撃と同じ日にグアム攻撃が行われ、日本軍によって占領されました。以後日本軍はこの島を大宮島と呼んだそうです。また、島の3分の1は軍用地で、まさにグアムはアメリカ軍の基地の島です。沖縄から、アメリカ軍の一部がグアムに移転することになっているため、軍事基地としての性格はますます強まるでしょう。
 グアムには、紀元前3千年頃から東南アジアから人々が移住し、これがグアムの先住民となります。そして1617世紀にヨーロッパ人が進出しますが、このあたりの経緯については、太平洋の島々は似たようなものです。グアムの場合、19世紀末に最終的にアメリカ領となり、一時日本軍に占領されますが、その後再びアメリカ領となります。日本軍の占領時代に、日本軍は先住民に日本語を強制し、アメリカ軍が復帰した後は英語が強制されました。そのため先住民であるチャモロのアイデンティティが失われそうになりますが、今日チャモロ文化の復興と継承に努力が注がれているそうです。おしゃれなホテルが林立する今日のグアムからは、想像もできないことです。
 本書は、それ程深い内容の本ではありませんが、グアムの本当の姿を我々に教えてくれます。ただ、もう少しカラフルな写真あるとよかったと思います。













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