2019年11月27日水曜日

「「イタリア」誕生の物語」を読んで

藤澤房俊著 2012年 講談社新書メツエ
 日本の高校世界史や入試問題は、やたらに「イタリア統一」や「ドイツ統一」が好きです。「ドイツ統一」が好きな理由は、日本がドイツ憲法をモデルとして明治憲法を制定し、ドイツをモデルに国造りに励んできたからでしょう。一方、本書によると、実は明治時代の日本でイタリア史ブームがあったそうです。イタリアがイタリア王国として国民国家を樹立したのが1861年で、日本の明治維新の7年前ですから、イタリアは日本の国民国家の先輩に当たり、そういうことから日本はイタリアに親近感をもっていたそうです。また同じ頃、イタリアではガリバルディが英雄的な活躍でイタリア統一に貢献し、ガリバルディについては、当時の日本でも盛んに報道されたそうです。
私は、かつてドイツ史やイタリア史に関する本を多数所有し、ドイツ統一に関する本も多数読みましたが、イタリア統一に関するほんを読んだことがありません。もちろん通史などでイタリア統一について読みますが、イタリア統一をテーマとした本に出合ったのは、本書が初めてです。個々の点ですでに知っていることは沢山ありますが、それらの具体的な動きについては、何もしりませんでした。マッツィーニの動向、若いガリバルディの活動、そしてその周囲でサルデーニャ王国やフランスやオーストリア帝国などの大国が蠢きます。それは日本の幕末期を観ているようでした。
政治的な目的のためなら、いかなるものも犠牲にするカヴ―ルは、サルデーニャ王からもガリバルディからも、マッツィーニにからも憎しみを買います。これらのことが本書では生き生きと描かれており、大変興味深く読むことが出来ました。

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