2018年1月27日土曜日

映画「ベツレヘム 哀しみの凶弾」を観て


2013年にイスラエル・ドイツ・ベルギーによって制作された映画で、イスラエルの秘密警察とテロ組織とのやり取りを描いています。パレスチナ問題についてはこのブログでも何度も触れていますので、以下のページを参照して下さい。
映画でヒトラーを観て 「栄光への脱出」「ミュンヘン」
映画でイスラーム世界を観る 「パラダイス・ナウ」
入試に出る現代史 第四章 中近東




舞台となったベツレヘムは、イェルサレムから10キロほど南にある人口3万人強の町ですが、何よりもこの町はイエスが生誕したとされる場所で降誕教会 (聖誕教会)があり、ユダヤ教の聖地もあるため、年間200万人を超える観光客が訪れますが、近年治安が悪く、観光客は減っているそうです。しかし映画には、降誕教会も観光客も登場しません。登場するのはイスラエルの秘密警察とパレスチナのテロ組織、そしてその狭間に立った17歳の少年サンフールです。
 サンフールの兄は名の知られたテロリストで、ハマスから資金を得てテロ活動を行っており、サンフールも兄を手伝だっていました。同時に彼は秘密警察のラジとも親交があり、時々テロ組織の情報を漏らしていました。だからといってサンフールには裏切っているという意識はなく、兄を尊敬していたし、ラジには父親のように慕っていました。しかし彼がラジに与えた情報をきっかけに兄は秘密警察によって殺されます。これに対して、サンフールはテロリストになることを決意し、ラジを殺害し、こうしてテロリストが再生産されています。そして彼も多分長生きはできないでしょう。

 映画では、様々な人の様々な思いが描かれていますが、これを言葉で表現することはできません。結局は、閉塞感と救いのなさだけしか残りませんでした。


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