2016年3月23日水曜日

「三国志外伝」を読んで

 本書は、1986年に湖北省群集芸術館が編纂した、今なお語り継がれる三国志の伝承を集めたもので、立間翔介・岡崎由美訳、徳間書店出版(1990)です。サブタイトルは、「民間説話にみる素顔の英雄たち」です。
 漢が衰退した後、3世紀前半に魏・呉・蜀という3国が鼎立して争い、この争いについて、3世紀の後半に晋の陳寿が「三国志」を著します。ただ、陳寿は、面白い歴史を書こうとしたのではなく、あくまで正しい歴史を記録しようとしたのです。だから、荒唐無稽な伝説は極力排除をしています。しかし、この「三国志」には記録されなかった、民間伝承が伝えられており、講釈師などを通して人々に伝えられていました。元代にはこれに曲を付けて伝えられ、さらに「三国志」講談のタネ本が絵入りで刊行されます。そして、14世紀半ばの明朝の時代に、羅貫中という文学者が「三国志演義」を編纂したとされます。「三国志演義」では多くの説話が取り入れられ、これが一般に知られている「三国志」です。ただしこれは歴史書ではなく、歴史小説です。
 ただ、「三国志演義」にも取り入れられなかった説話があり、中国各地に民話として伝承されている説話があります。本書はこうした説話を集めたもので、千人近い人々からの聞き取りによって集められたそうです。まさに、「おららが村の英雄たち」の物語です。原書は500ページを越えるそうですが、本書はその一部を抄訳したものです。
 「三国志演義」は蜀を中心に語られているため、当然本書でも蜀に関する説話が多く、とくに関羽・張飛・諸葛孔明に関する説話が多く採用されています。諸葛孔明の結婚に関する異なる説話が3話あり、こうした重複する説話は他にも多数あるのだと思います。全体として荒唐無稽な話が多いのですが、それでも楽しく読むことができました。




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