2016年2月17日水曜日

「ルイ14世と悲恋の女たち」を読んで

戸張規子著 1987年 人文書院
 本書は、ルイ14世と関わった三人の女性を、女性の視点で、物語風に述べています。
 マリー・アンチーニは、宰相マザランの姪で、決して美人ではありませんでしたが、教養があり、ルイに文化の大切さを教えた人物だとされます。彼女は、ルイにとって初恋の相手だとされますが、国王にとっては愛より政略結婚が大切であり、スペインの王女と結婚するために、マリーはイタリアへ嫁がされることになりました。そしてルイとスペイン王女との結婚は、ブルボン家がスペインを継承するという結果を生み、今もスペインの王家はブルボン家です。
 ルイーズ・ド・ラ・ヴァリエールは、イギリスから王弟フィリップに嫁いだヘンリエッタ・アン王女の女官でしたが、やがてルイの目にとまり、ルイとの間に6人の子を設けます。彼女は控えめな女性で、富や地位を求めませんでしたが、ルイは彼女に公爵の地位と領地を与えます。やがて王の愛が別の女性に移ると、彼女は修道院に入って余生をひっそりと過ごしました。
モンテスパン侯爵夫人は、大変な美貌の持ち主であると同時に、権勢欲の強い女性でもありました。ルイーズを追い落とし、夫と離婚し、ルイの寵愛を独占し、7人の子を産み、事実上宮廷の女王となります。しかし、彼女がライバルを追い落とすために黒ミサに関わったことが発覚し、事実上宮廷から追放されます。
ルイ14世に関わった女性は他にも沢山おり、著者が特にこの三人を選んだ理由は分かりませんが、こうした女性の視点でヴェルサイユ宮殿を見るのも興味深いものがあります。

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