2014年5月23日金曜日

1492 歴史の破壊 未来の略奪

ジャック・アタリ著 1992年 斎藤広信訳 朝日新聞社(日本での出版は1994)
 本書は、アメリカ大陸「発見」500周年に出版されたもので、「キリスト教ヨーロッパの地域支配」というサブタイトルがついています。著者はフランスの経済学者で、1981年から91年までミッテラン大統領の特別顧問を務めた人物で、同大統領の側近中の側近でした。彼は毎年のように本を執筆しており、その内容は多岐にわたっていますが、本書は「1492年」にすべてが変わってしまったというテーマです。
彼は序文で次のように書いています。「西ローマ帝国が崩壊すると、ヨーロッパは多くの支配者によって鎖に繋がれ、ほぼ一千年の間眠る。それから偶然とも必然とも言えようが、あるときヨーロッパは自分を取り囲む者たちを追い払って世界征服に乗り出し、手当たり次第に民衆を虐殺し、彼らの富を横領し、彼らからその名前、過去、歴史を盗み取る。1492年がその時である。この年、三隻のカラヴェル船が偶然一つの大陸を発見する。ヨーロッパ最後のイスラーム王国が崩壊する。ユダヤ人がスペインから追放される。ボルジア家の一人が教皇に選出される。……」少し言い方が大げさな感じがしますが、これと似たような見解は、一般に述べられていることです。
内容は、1492年に至るさまざまな事件を述べ、1492年については一か月単位であらゆる角度からの事件を述べ、そしてその後ヨーロッパが世界中で行ったさまざまな蛮行を述べます。全体として幾分こじつけが多く、独断的なところが多いような気がしますが、この点では私の「グローバル・ヒストリー」も似たようなものなので、あまり人のことは言えません。独断的な分歯切れがよく、一定の距離さえおいて読めば、面白く読むことができました。
ただ、著者は絶えず、諸悪の根源はヨーロッパにあるかのように強調していますが、私のようなひねくれ者が読むと、「今は違う」ということ、そして「結局はヨーロッパが勝者なのだ」、と言っているように聞こえてしまいます。この点については、フランクの「リオリエント」も同様で、18世紀までは中国がヨーロッパに優っていたと主張していますが、言外で、「今は違う」と言っているような気がします。

 なお、フランク氏が2005年に逝去されたことを今回初めて知りました。心より哀悼の念を捧げたいと思います。

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