2017年8月12日土曜日

映画「運命に逆らったシチリアの少女」を観て

2008 のイタリア, フランスの合作映画で、実話をもとにマフィアとの戦いを描いたものです。
 マフィアの起源は、中世シチリアにおける農地管理人だとされます。シチリアでは、次々と支配者が代わるため、これに対して管理人のような地方ボスが自衛組織あるいは互助団体を形成するようになり、農民たちにとってはこうした組織が唯一のよりどころになっていたと思われます。特に1860年代にイタリア王国が成立すると、イタリアにさまざまな勢力が台頭して政治的対立が激化すると、人々はますますマフィアに依存するようになります。さらに20世紀になるとマフィアの統合と組織化が進み、巨大な犯罪組織に成長していきます。中央集権化を目指したムッソリーニは、マフィアに対する弾圧を強め、一時マフィアは絶滅の危機に立たされますが、第二次世界大戦でアメリカがイタリアに上陸する際、アメリカはマフィアの手引きで上陸したため、再びマフィアが復活することになります。
 マフィアの影響力は政財界や検察・警察・裁判官にまで及んでいたため、マフィアの犯罪を暴くことは容易ではありませんでした。そしてここにリタ・アトリアという少女が登場します。彼女が敬愛する父もマフィアで、彼女が10歳の時、マフィアに殺されるのを目撃します。以後、彼女は彼女が日常的に目撃するマフィアの犯罪行為を、日記に記録していきます。そして1991年、17歳の時、彼女が信頼する判事に日記を渡し、裁判で証言することを約束します。
 判事は、彼女に対して証人保護プログラムを適用し、彼女の日記と事実を照合し、マフィアの犯罪を立証し、マフィアの大量検挙を行って裁判を開始しました。しかし判事はマフィアによって暗殺され、希望を失ったリタは、ビルの屋上から飛び降りて自殺します。この事件をきっかけに、マフィアの大量検挙が行われますが、今日でもイタリアでマフィアは大きな力を持ち続けています。
 この映画は、正義のためにマフィア打倒を決行する物語ではなく、父を殺されたことへの復讐に突き進む、山猫のような激しい少女の物語です。この映画が上映されるに当たっては、リタに関係のある人々は、自分たちが危険に晒されるため、上映中止を要請したそうです。
 ところで、マフィアの語源ははっきりしませんが、それがシチリアの特殊な社会現象であることは確かです。後にシチリアからアメリカに渡った人々が独自にアメリカン・マフィアを形成し、巨大な犯罪シンジケートに発展しました。そして現在のシチリアのマフィアは、アメリカン・マフィアのながれを汲むそうです。なお、マフィアと直接関係がなくても、ロシアン・マフィアとか金融マフィアなどように呼ばれることがあり、マフィアという言葉は、それほど広く普及しているわけです。


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