2019年9月21日土曜日

映画「源氏物語」を観て


2011年に制作された映画で、高山由紀子の小説「源氏物語 千年の謎」を映画化した作品です。源氏物語については、すでに「映画「紅楼夢」を観て」の「千年の恋 ひかる源氏物語」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2016/04/blog-post_23.html)で述べましたが、この時は「紅楼夢」との比較で述べました。
「千年の恋 ひかる源氏物語」と同様「源氏物語 千年の謎」も、紫式部がどのような動機で「源氏物語」を書いたのかという、まさに「千年の謎」を解き明かそうとしています。どちらも、藤原道長の娘である一条天皇の中宮・彰子への教育の一環として、紫式部が「源氏物語」を執筆したという点では共通しているのですが、「源氏物語 千年の謎」の奇抜性は、藤原道長と紫式部が肉体関係にある、というところにあります。結局、紫式部が「源氏物語」を書き続けた理由は、藤原道長に対する紫式部の情念であった、ということです。

残念ながら、この映画では「もののあはれ」を感じることはできず、ただ「生々しい情念」を感じるのみでした。セルバンテスの「ドン・キホーテ」も何度も映画化に失敗していますが、「源氏物語」の映像化も容易ではないようです。

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