2020年7月12日日曜日

映画「恋の闇 愛の光」を観て


1995年に、イギリス・アメリカで制作された映画で、危機の17世紀のイギリスを生きた一人の医師の姿を描いています。なお、この時代の医師は、今日ほど上等な職業ではなく、医療技術も未熟でした。
 17世紀のヨーロッパは「危機の時代」と呼ばれ、このことについてはすでに何度もこのブログでのべてきました。
18章 危機の17世紀」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2014/01/1817.html)
「第20章 イギリスの形成」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2014/01/20.html)
「映画で17世紀のイギリスを観て」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2015/10/17.html)
「「ロンドン・ペストの恐怖」を読んで」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2016/08/blog-post.html)
「映画で17世紀のイギリスを観て」(https://sekaisi-syoyou.blogspot.com/2015/10/17.html)
 17世紀のイギリスは、ピューリタン革命による混乱、クロムウェル独裁時代の清教主義、そして王政復古後のチャールズ2世の時代は、快楽が賛美され、芸術が奨励された時代でした。宮廷はカラフルな衣装に溢れ、男女関係は乱れ、同時に宮廷の外では、貧困、ペストの間歇的な流行、ロンドン大火などが起きていました。一方では、信仰心が失われるとともに、この時代には科学が芽生えつつあり、ニュートンなども登場し、新しい光が照らされつつありました。先に見た「映画で17世紀のイギリスを観て」の「リバティーン(放蕩者)のジョン・ウィルモット(実在の人物)は、典型的に闇の世界を生きた人でしたが、この映画の主人公メリヴェル(架空の人物)は、闇の世界から光の世界へと抜け出していきます。
 メリヴェルは貧しい医師で、毎日貧乏人を相手にしていましたが、ある時たまたま国王の犬を治療したことから、国王に宮廷に招かれ、爵位を与えられ、豪華な宮廷生活にどっぷりとつかることになります。しかしやがて国王の愛人(沢山います)の一人との不倫が発覚し、宮廷を追放されます。この間、何年くらいたったのか分かりませんが、彼は再び貧民街の医師に戻り、そこで再び医師の心を取り戻します。そして、従来の非科学的な医術から科学的な医学へと向かって行き、人々の信頼を得るようになります。つまり彼は光の世界へと向かって行ったのです。
 ストーリーとしてはありきたりなのですが、馬鹿馬鹿しいほど飾り立てた宮廷や衣装、そして惨めな貧民の生活がよく描かれており、大変興味深く観ることができました。


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