2018年8月11日土曜日

ベトナム映画「ソード・オブ・アサシン」を観て


2012年にベトナムで制作されたワイヤー・アクション時代劇です。ベトナム映画については、「ベトナム映画を観て」(http://sekaisi-syoyou.blogspot.jp/2014/01/blog-post.html)以来久しぶりに見ました。ベトナムも最近は映画大国になりつつあり、こうした時代劇もたくさん制作されているようですが、残念ながら私が観る機会がありません。
この映画がいつの時代を背景としているのか、目を皿のようにして観ていたのですが、ヒントになるものがありませんでした。ベトナムは、10世紀頃までほぼ中国の支配下にあり、映画が扱う時代はそれ以降ということになります。ベトナムは中国文化の影響を強く受けており、例えば漢字を用い、衣服や建物も中国風で、しかも映画では中国好みのワイヤー・アクションがふんだんに登場しますので、これを中国映画だと言われれば、そう思ってしまったかもしれません。主人公の姓がグエン=阮で、19世紀に阮朝というのがありますが、グエンというのはベトナムでは最も多い姓だそうです。第一、舞台が19世紀のことなら銃が登場するはずですから、映画の舞台がこの時代でないのは明らかです。
映画は、山中の寺でヴー・グエンという青年が武術の修行をしているところから始まります。この武術も、なんとなくカンフーのように見えました。グエン一族は宰相を出す家柄でしたが、12年前に皇太后が息子を皇帝にするため、皇帝や宰相一族を殺害し、ヴーはグエン一族の唯一の生き残りでした。やがてヴーは一族の復讐のため都に行き、そこで同じく皇太后に両親を殺され、復讐に燃えているスアンという女性に出会います。やがて皇太后の子、つまり現皇帝が前皇帝の血を受け継いでいないことを明かす文書があることが分かり、この文書を巡って争いが展開されます。
ここまでは、ストーリーがあまりにありきたりで眠くなってきましたが、最後は意外な結末でした。ヴーはついにその文書を手に入れます。彼としては、それを使って皇太后を倒しグエン一族の復興を果たすことができたはずでしたが、宮廷の醜い争いを見て、このような文書が表ざたになれば、また多くの血が流れ、国土が戦乱に巻き込まれることを憂い、これを皇太后に渡し、すべてを皇太后に委ねて去っていきます。少し考えすぎかも知れませんが、戦後インドシナ戦争やベトナム戦争など30年に及ぶ戦争への反省が背景にあるのかもしれません。
最近は東南アジアの映画も少しずつ日本で公開されるようになっているようですが、私自身はあまり観る機会がありません。

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