2017年3月22日水曜日

「歴史家たち」を読んで

 本書は、「ラディスル・ヒストリー・レヴュー」誌に掲載された、ラディカルな歴史家たちのインタヴューを掲載したもので(1984)、近藤和彦・野村達郎編訳です。名古屋大学出版会。1990年。
 本書では、13名の高名な歴史家がインタヴューに応じ、彼らがなぜ歴史家となり、なぜそれぞれの分野を専門分野として選び、またどのような課題を抱えているのかを述べています。ここで言う「ラディカル」とは、訳者によれば、「ものごとの根源に立ちかえる」「根本的な問いをたてる」あるいは「徹底的・急進的」、とうような意味だそうです。ここで取り上げられている歴史家の多くはマルクス主義者で、研究の対象も、労働問題やフェミニズムに関するものが大部分です。
 その中で異色なのは、「チーズとうじ虫」の著者として有名なギンスブルグです。彼は次のように述べています。「私が関心をもっているのは歴史における死せるものであって、生き続けているものではない。……私は現在に結び付けられない色んなこと、つまり本当に死せるものに魅惑されてきました。」これは、「すべての歴史は現代史である」と述べたクローチェの対極であろうと思います。 なお、「チーズとうじ虫」については、このブログの「チーズとうじ虫」を参照して下さいhttp://sekaisi-syoyou.blogspot.jp/2014/01/blog-post_8234.html

 いずれにせよ、本書を通じて、一人の人間が歴史を学ぶことを決意し、分野を選択する過程を知ることは、私自身の過去を振り返って、大変興味深いことでした。

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