島田周平著、2019年、岩波新書、岩波新書の「物語……の歴史」シリーズの一つで、私もこのシリーズをずいぶん沢山読みました。また、アフリカ史に関する本を読むのは、本当に久しぶりです。ただ、各国別歴史が意味を失う中で、とりわけ人工的に生み出されたアフリカの各国史を学ぶ意味があるのでしょうか。とはいえ、今あるアフリカの国々が消えてしまうわけではではないので、将来の発展を期待して、歴史を学んでおくことは必要かもしれません。
ナイジェリアという国名の起源は、ニジェール川に由来し、ナイジェリアの国章のYの字は、ニジェール川とベヌエ川の合流を示しているそうで、ナイジェリアはまさにニジェール川の国なのです。ニジェール川流域では、古くから高度な文明と経済が発展しますが、やがて19世紀末にはヨーロッパにより分割され、ナイジェリアはイギリスの植民地となり、よく言えば開発が、悪く言えば収奪が行われました。1960年に独立が認められますが、イギリスの利権や影響は残り、凄まじい内戦と独裁政権という、アフリカの新興国では珍しくないパターンを繰り替えしました。
本書の著者は、ナイジェリアの農業研究のため長期間ナイジェリアに滞在し、ナイジェリアを愛し、ナイジェリアについての紹介に努力しています。ナイジェリアの前史の紹介は大変参考になりますし、またイスラーム過激派として知られるボコ・ハラムがどのように形成されたかについては大変興味深く読むことができました。ボコ・ハラムには単純に過激派と切り捨ててしまえない歴史的背景があるようです。
一方、ナイジェリアは石油資源が豊富で、アフリカで経済大国になりつつあるそうで、「アフリカの巨人」とも呼ばれているそうですが、そのことがナイジェリアに幸運をもたらすのかどうか、私には分かりません。
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