古墳についての本を始めて読みました。なにしろ古墳についての基礎知識が不足しているため、なるべく簡単そうな本を選びました。本書は日本の考古学の大御所が、編集者と旅をしつつ、古墳について語るという構成になっており、大変分かりやすく書かれています。そして何よりも、著者が古墳をこの上もなく愛しているのがいいですね。
本書を読んでいて、興味深く感じたのは、編集者が神話の面白さを語ったとき、著者は神話について否定的な反応を示したことです。著者は戦前に神話教育を受け、それに影響されて海軍に入隊し、出陣直前に終戦して捕虜となり、廃墟となった日本に帰ってきたそうです。そしてたまたまの出会いから、「古き」を科学的に「考える」考古学を学ぶことになったそうです。もちろん筆者も神話の重要性を否定するわけではないでしょうが、何よりも筆者は神話を否定することで科学的な考古学を確立してきた人ですから、それ程安易に神話を受け入れることはできないのだと思います。
私自身は戦後生まれであり、神話をタブーとする教育を受けてきましたので、逆に神話を復権させる必要があると考えています。しかしそれは、過去の苦い経験を踏まえて、慎重に行われなければなりません。
なお、私の家の近くに志多見古墳群というのがあり、最近世界遺産になった古墳群を含め、日本各地に相当たくさんの古墳群があります。今日残っている、あるいは発見されているだけでこれだけあるのですから、古墳時代の末期には、そこら中古墳だらけだったかもしれません。
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