2019年1月2日水曜日

韓国映画「霜花店(サンファジョム)―運命、その愛―」を観て

はじめに
 最近私は、私がいかに韓国・朝鮮の映画を観ていないかに気づき、近所のレンタル・ビデオ屋に行って韓国・朝鮮の歴史を扱った映画を探しました。まず連続テレビ・ドラマは観たくないで、単発の映画を探したのですが、相当広い韓流コーナーの中でそうした映画を置いた棚が一つ分しかありませんでした。その中から、歴史を扱ったものらしいDVDを二十数枚発見しましたので、これからそれを少しずつ紹介していきたいと思います。ただ、歴史を扱っているとはいえ、時代的には14世紀末に成立した李氏朝鮮以前のものは、ほとんどありませんでした。(もちろん連続テレビ・ドラマには沢山ありますが、これだけは観たくありません。)この点に関しては、日本でも、源氏物語を除けば、戦国時代以前の映画は非常に少ないので、やむを得ないとは思います。
 今回、唯一高麗時代の映画を手に入れましたので、まずこの映画の紹介から始めたいと思います。
高麗について
 高麗は、新羅に代わって10世紀初頭に王建によって建国され、1392年に李成桂によって滅ぼされるまで500年近く存続しますが、この時代には大陸で大きな動乱が続き、高麗は絶えずこの動乱に左右されました。当初高麗は中国の宋に朝貢していましたが、やがて契丹の遼に朝貢し、さらにモンゴルの元に朝貢します。しかしモンゴルは、高麗を単なる朝貢国としてではなく、軍隊を派遣し、統治に直接関与しました。また日本攻撃の基地として多大な犠牲を払わされ、さらにモンゴル軍の協力のため、多くの兵士を送ることも強制されていました。さらにそれだけではなく、高麗の王にはモンゴルの皇女を妃として送り込まれていましたので、高麗の君主に裁量の自由などありませんでした。
霜花店(サンファジョム)―運命、その愛―

2010年に韓国で制作された映画で、高麗末期を時代背景としている映画ですが、この映画は歴史とはあまり関係のない映画でした。なおこの映画はR18ですので、ご注意下さい。
君主はゲイで、美青年ホンニムを寵愛し、モンゴルから送られてきた王妃には手も触れませんので、世継が生まれません。そこで王は奇抜な方法を考え出しました。つまりホンニムと王妃に関係をもたせて王妃に懐妊させ、生まれた子を王の子として世継とするということです。しかし人の心は思うようになりせん。やがてホンニムと王妃は本気で愛し合うようになり、それを王が嫉妬し、いろいろあって、結局3人とも死んでしまう、という話です。
映画は、三人の心理的な葛藤を描いており、それ自体は面白かったのですが、この物語は高麗時代でなくても成り立つような気がします。君主も多分架空の人物だと思われます。ただ、タイトルの霜花店(サンファジョム)というのは高麗で歌われた雑謡のタイトルだそうで、映画では、王妃が愛する人に与えるとされる食べ物として霜花(サンファ)餅を与える場面があります。もしかすると、この話は朝鮮・韓国ではよく知られている話かもしれません。
いずれにせよ、この退廃的な高麗王朝末期において、まもなく李成桂のような武人が台頭し、新たな王朝を建てることになります。
今回、韓国歴史映画の旅をしようとしていますが、最初に変な映画に当たってしまいました。先が思いやられます。


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