実松克義著 現代書館 2016年
マヤ文明について、一般には紀元前2千年ころに誕生し、16世紀初めにスペイン人によって滅ぼされた文明で、実に3千5百年続いた稀有な文明として説明されます。この場合、マヤがスペイン人によって滅ぼされたというのは、正しくないでしょう。スペイン人が到来したころ、政治勢力としてのマヤはすでに滅びていました。さらに著者は、マヤ文明の伝統は今日も生きているという前提でマヤ文明の全体を捉えます。つまり今日1千万人以上のマヤ族がおり、彼らがマヤ文明の伝統を維持しているとのことです。
本書について、著者の文章を引用します。
著者本書を世に問う理由は大きく言えば二つある。
一つはマヤ文明の研究に関する方法論上の問題である。本書はマヤ文明を過去から現在までの「総体として」描き出し、理解しようとする試みである。マヤ文明はこれまで考古学者、碑銘学者、言語学者、人類学者、歴史学者等によって研究されてきたが、それぞれが専門的な縄張りをもち、ほとんどバラバラに行われてきたと言っていい。さらにまたマヤ文明を過去のものとして封印し、現代マヤ文化と切り離して位置づけようとする傾向がある。その結果マヤ文明についての理解は事実の集合体の域を出ず、そこには多くの誤解と偏見が存在する。本書は、マヤの文化伝統の考察において、過去と現在を意味のある連続体とみなし、この文明の思想的骨格理解することによって、マヤ研究の新しい地平を開こうとするものである。
本書はかなり膨大で、暦についての説明はかなり難解ですが、マヤ文明について学ぶと、文明とは何かとかについて考えさせられます。なお、マヤ文明については、「メソアメリカを読む マヤ人の精神世界への旅」(http://sekaisi-syoyou.blogspot.jp/2014/08/blog-post_30.html)も参照して下さい。
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