2018年1月3日水曜日

「大数学者」を読んで

小堀憲著 1963年、新潮選書
 本書は、19世紀に活躍した6人の数学者ガウス、コーシー、アーベル、ガロア、ヴァイエルシュトラース、リーマンについて述べています。私は数学についてはまったく苦手で、本書でも数学の説明はほとんど飛ばしてしまいました。ただ、近代のヨーロッパ文明は、数学の発展と不可分に結びついているように思います。優れた哲学者・物理学者・天文学者などは、みな優れた数学者であり、優れた数学者は同時に優れた哲学者でした。数学者にとっては、混沌とした世界において、数学のみが絶対的に整然とし、美しいということのようです。コペルニクスは地動説を主張したというより、従来の宇宙観が数学的に整合せず、天動説に基づいた場合のみ数学的に整合するということでした。そこで展開された数学的な整合性はあまりに美しく、当初、多くの人はそれを天文学上の問題としてよりも、数学上の問題として捉えていたようです。
 19世紀以前の数学上の業績は天才的な直観よるものが多いとのことですが、19世紀の数学は直観に依存していた概念を、徹底的に分析し、何が基本概念であるかをつきとめ、これによって数学は躍進したのだそうですが、おかげで学校で学ぶ数学がやたらに難しくなったような気がします。ドイツの数学者ガウスは近代数学のほとんどの分野に影響を与えたとされ、フランスのコーシーは厳密主義の創始者とされます。ノルウェーのアーベルは500年分の仕事をしたとまで言われる業績を残しましたが、大御所ガウスやコーシーに認められず、26歳で病死しました。フランスのガロアは10代のうちにガロア理論なるものを生み出し、現代数学への扉を開いたとされますが、七月王政に対する革命運動で一時投獄され、さらに20歳の時女性問題で決闘を行って死亡しました。ドイツのワイエルシュトラスは現代数学の基礎である複素数の解析を行い、同じくドイツのリーマンの幾何学における多様性の概念は、アインシュタインの一般相対性理論に応用されているそうです。なお、アインシュタイン自身は数学が苦手だったそうです。

 自分でもほとんど意味の分からないことを書いていますが、それでもある程度の関心をもって、本書を読むことができました。

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